Message from Outside Directors

社外取締役メッセージ

社外取締役 橘川 武郎

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エネルギーを供給し続けるとともに、
脱炭素社会の構築に資するイノベーションを

社外取締役
橘川 武郎

「エネルギーをみんなに、クリーンに」という難題への挑戦へ、先頭に立つ企業として

「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」。これは、国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)に含まれる、7番目のエネルギーに関わる目標です。
この目標を実現することは難しいと認識しています。「エネルギーをみんなに」届けるためには、石油や石炭などの化石燃料に頼らざるを得ません。一方で、「エネルギーをクリーンに」するためには、化石燃料の使用を抑制し、CO2を排出しない再生可能エネルギーの利用を拡大しなければなりません。二律背反を抱えるSDGsの目標7を達成することは、至難の業なのです。
当社グループは、この難題の解決の先頭に立っています。日本国内だけでなく、広くアジアの人々にエネルギーを供給する責任をきちんと果たすとともに、太陽光・風力・地熱・バイオマス(ブラックペレット)の利活用にもしっかりと取り組んでいます。独自で商品化した石炭評価システムは燃焼効率を最適化しCO2排出量を抑制しており、加えて、炭酸塩化をはじめとするCCU(二酸化炭素回収・利用)への挑戦に対しては各方面から期待が寄せられています。総力を挙げて材料の開発を進めている全固体リチウムイオン電池が実用化されれば、エネルギーの世界に革命をもたらし、地球温暖化対策の進展に大きく貢献するでしょう。
将来的に脱炭素社会が到来することは間違いありませんが、それまでの移行期間に、人類は数十年にわたって化石燃料を使い続けていきます。その間にCCUの技術が確立すれば、その後も、化石燃料は人類にとって有用な資源となります。このような世界史的に見ても特別な時期に、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」という難題に正面から取り組む企業が存在することは、希少であるし貴重です。今こそ、当社グループの出番であると認識しています。

大胆なポートフォリオ転換には、バックキャストの視点が必要不可欠

今、人類は、将来世代への責任を遂行するため、地球温暖化をストップする取り組みに力を入れています。その中にあって当社グループは、今後も長期にわたって、人々にエネルギーをきちんと供給し続けるミッションを担っています。それとともに、脱炭素社会の構築に資するさまざまなイノベーションやビジネスを実現するミッションも果たしています。
前者のミッションを担うためには、足元の現実を踏まえ、着実に前進するフォアキャストの姿勢が求められます。それに対して、後者のミッションを果たすためには、ターゲットとする未来の時点でのあるべき姿を想定し、そこから逆算して今、何をなすべきかを明確にするバックキャストの視点が必要とされます。
当社グループには、長い歴史を踏まえて、人間尊重やD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の経営理念、共通の価値観が根付いており、当面する課題を真剣かつ着実に遂行するフォアキャストのアプローチに適合的な風土が存在しています。反面、主業とする燃料油事業の将来が確実に見通せないこともあり、バックキャストの視点に関しては弱さを残すと感じています。
これらの点は、取締役会や指名諮問委員会の現在のあり方にも、色濃く反映されています。取締役会は、バックキャストの手法を採用し、大胆なポートフォリオ転換をも含む戦略的な議論に、より多くの時間を割くべきでしょう。指名諮問委員会は、向こう数年間のトップマネジメントの選任だけでなく、10年先、20年先を見据えたリーダーの発見、育成にも力を注がなければなりません。それらが実行に移されれば、当社グループは、「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」という人類史的意義を持つミッションを遂行するのにふさわしい強靭な体質を身に付けることになるでしょう。

出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ

社外取締役 小柴 満信

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さらなる人材の多様化を推進するとともに、
思い切った事業ポートフォリオの見直しを

社外取締役
小柴 満信

苦境を克服し、思い切った事業ポートフォリオの見直しとデジタル変革を

出光興産と昭和シェル石油の統合後、新たに社外取締役として加わって1年が経過しました。残念ながら、本年3月に世界を襲った新型コロナウイルスが契機となった「世界景気の減退」「逆石油ショック」の影響により、燃料油需要のみならず製品市況も低迷し、当社の2020年3月期の財務成績は不満足な結果に終わりました。しかし、統合後の経営状況、組織の健全性、およびガバナンス体制は十分機能していると評価しています。現在の燃料油の需要低迷および製品市況の低迷は短期的なものではなく、今後、数年間続く経営上の大きなリスクと想定しています。この苦境を克服し、成長事業を創造する新経営陣のリーダーシップと執行役員の業務遂行能力に対して、株主、従業員、そして顧客の期待が高まっています。
エネルギーセクターは世界的に企業価値の毀損が顕著であり、当社もその例外ではありません。企業価値の回復は、当社にとって目前の重要課題であり、当社の技術力、研究開発力、およびブランド力を活用して新しい成長事業を創出する不断の努力が必要です。その上、企業収益が圧迫される中においても、非有機的な戦略投資や組織のデジタル変革の実行は「待ったなし!」の状況にあります。
世界を襲ったパンデミック、米国やオーストラリアで起きた想像を絶する山火事などにより、世界の地球温暖化への取り組みが今までにない注目度で加速しているのは紛れもない現実です。当社の主力事業である燃料油、石炭事業の将来戦略を、再生可能エネルギー事業やリチウムイオン電池材料事業、電気自動車を活用したモビリティサービスなどのカーボン・ニュートラルに貢献する新事業と組み合わせることにより、事業ポートフォリオを思い切って見直すことが必要です。

ジェンダーだけでなく、技術系・若手・外国人の積極登用など、さらなる人材の多様化を

当社は、人材が豊富であると実感しています。その上で、当社の創造性や多様化する市場の変化に対応するために、人材の多様化に積極的に取り組み始めています。特にジェンダー・ダイバーシティに積極的に取り組んでいますが、日本の石油化学業界に共通の課題である「女性上級職の登用」は、業界平均と比較しても劣後していると感じています。長年、JSR株式会社において、人材の多様化に積極的に取り組んできましたが、当社の人材の多様化に関しては、ジェンダー・ダイバーシティだけにとどまらないと感じています。例えば、上級管理職において技術系社員の割合が少ないばかりではなく、若年層の上級管理職や執行役員への登用が遅いことが挙げられます。
今後、非有機的な成長を求めて戦略投資を行い、組織のデジタル変革を進めるには、先端技術への理解が深い技術系幹部、デジタルネイティブとまでは行かなくとも、先端のデジタル化に対して心理的なハードルの低い若い経営幹部が欠かせません。すなわち、人材の多様化はジェンダーの多様化のみならず、技術系社員の経営層への登用、若年層の上級管理職・執行役員への登用、外国籍人材の積極的な採用など改善点は多いと認識しています。

出光興産, 株式会社ディ・エフ・エフ